Friday, November 29, 2013

河野晃一郎、ベ・サンムンとのプレーオフ制した“笑顔の力”




2011年10月30日20時19分




リーダーズボード
順位 選手名 スコア優勝 河野晃一郎 -15
2 ベ・サンムン -15
3 藤田 寛之 -14
小田 孔明 -14
5 矢野 東 -13
J・B・パク -13
7 上井 邦浩 -12
増田 伸洋 -12
野仲 茂 -12
10 手嶋 多一 -11


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プレーオフを制して初優勝した河野晃一郎(撮影:上山敬太)




マイナビABCチャンピオンシップ 最終日◇30日◇ABCゴルフ倶楽部(7,217ヤード・パー72)>

 国内男子ツアー「マイナビABCチャンピオンシップ」。藤田寛之小田孔明も届かなかったベ・サンムン(韓国)を土壇場でとらえた。トータル13アンダーで最終18番を迎えた河野晃一郎が198ヤードを2メートルにつけ起死回生のイーグルを奪取。トータル15アンダーでベと並んでプレーオフに突入した。

河野晃一郎の今季成績

 「相手は賞金ランキング1位。飛距離も出るし、ロングだし」考えれば分が悪いことばかり。それでも河野は笑っていた。「ここでこいつ倒したら自信になる。たくさんのファンの方が寒い中応援してくれているし、笑顔出さないと申し訳ない」どんなプロでもしびれるプレーオフ。それでも河野は最後の最後まで笑顔を絶やさなかった。その笑顔と、ピンを攻めてくるプレーに、18番を取り囲むギャラリーは釘付けになっていった。

 プレーオフ2ホール目。セカンドを池に落としてウォーターショットで奥3メートルにつけるのがやっとだったベに対し、河野はグリーン右サイドのラフ。寄せればプレッシャーをかけられる場面で、「鋭角に入った分、ドフッと」クラブがボールの下をくぐるだるま落とし。普通のプロなら落胆、怒り、色々な気持ちが渦巻くところだ。しかし、河野はこれまで以上の笑みを浮かべキャディと「次はチッパー使わないといけないな」と冗談を飛ばしてこのピンチも切り抜けて見せた。

 そして迎えた6ホール目。ベは3打目を奥のカラーに外したが、河野はピン根元に落として3メートルのバーディチャンス。「ちょっと押したかな」と右に出たボールにヒヤッとしたが、軽いフックラインを描いたボールがカップに消えた瞬間、ガッツポーズと共にこれまで見せてきた中で最高の笑顔を爆発させた。

 誰が見てもわかるようにトレードマークは笑顔。同級生の宮里優作清田太一郎らに対抗するために、大学卒業後言葉も通じない米国へゴルフの武者修行に出たときに、「自分が入りやすい環境を作ろうとしたら笑顔になっていた」とゴルフと共に身につけてきた。

 初シードの今季、「ANAオープン」から「キヤノンオープン」までの4試合連続で予選落ちを喫した時にはさすがに笑顔も失われていたが、出場しなかった「日本オープン」の週を休養に充てたことでリフレッシュ。「笑ってやろうと。打っちゃってもしょうがない。笑ってやったほうがテンションも上がって、結果も上手くいくと思うから」。本来の笑顔を取り戻し復調のきっかけをつかむと、今大会では4日間60台を並べる抜群の安定感を披露。プレーオフ終盤はさすがに疲れも出ていたが、最後まで絶やさなかった笑顔の力でツアー初優勝をもぎ取って見せた。

 6ホールに及ぶプレーオフは1993年の「JCBクラシック仙台」以来。互いの体力と精神力を削りあう様は“死闘”という言葉がふさわしい。しかし、河野の“笑顔”と共にファンの心に刻まれた2011年の「マイナビABCチャンピオンシップ」に限っては“死闘”という言葉が使われることはなさそうだ。

【最終結果】
優勝:河野晃一郎(-15)※プレーオフ
2位:ベ・サンムン(-15)
3位T:藤田寛之(-14)
3位T:小田孔明(-14)
5位T:矢野東(-13)
5位T:J・B・パク(-13)
7位T:上井邦浩(-12)
7位T:増田伸洋(-12)
7位T:野仲茂(-12)
10位T:石川遼(-11)他2名

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